こんにちは、奥成大輔(オクナリダイスケ)です。
ホンダ・N-ONEのRSに試乗しました。
走り出すとなんとも魅力的なクルマで、トンネルのあるバイパスをまっすぐ帰るつもりが、御料牧場を南下してワインディングのあるもう一本の道を選んで宇都宮から那須烏山に走ってきました。
発売間もない頃に、N-ONE プレミアムのターボに試乗したことがあります。
当時も好印象でしたが、今回のRSはそれを上回る魅力が随所に見られました。
そこで、このブログでも初めてのクルマのレビューとしてホンダ・N-ONE RS試乗レビューをお届けしたいと思います。
RSのエンブレムが輝くボーイズレーサー
ホンダ・N-ONEは2012年に発表されたクルマでデビューからすでに6年が経過しています。
しかし、デザインも品質も性能もまったく古さを感じさせません。
今回試乗したN-ONE RSは、エンジンにターボチャージャーが付くので充分なパワーがあり、質感も高く、サイズ以外は軽自動車とは思えない仕上がりの素敵なクルマでした。
ローダウンのサスペンションとスポーティなエクステリアとインテリアで、ボーイズレーサーやカフェレーサーの雰囲気を持ち、ホンダのスポーティモデルのRSのエンブレムがテールゲートに飾られています。
N-ONE RSに乗り込むとクルマを着るようなフィット感
クルマに乗ると、天井が低めで、ダークカラーのルーフライナーや内装が締まって感じるのでタイトでクルマを着るようなフィット感です。
フロントウィンドウの眺めでは、ライトのところがなだらかにふくらむボンネットのラインが、1960年代から70年代のクルマを連想させられて、なつかしさを感じさせます。
特別なクルマを印象づけるRSの革巻きに赤いステッチ
インテリアでは、ハンドルやシフトレバーは黒の革巻きで赤いステッチが特別なクルマを印象づけています。
ハンドルの握り部分も自然な形状で、変な力を必要とせず自然に握ったり添えたりすることが可能です。
シートは、白に近い薄いグレーのモケットの周囲に黒ソフトレザー、ハンドル類と同じ赤いステッチ。
特におしりや背中の荷重がかかるところが周囲と同じソフトレザーだと、汗で蒸れやすいのですが、布だと通気性がよくありがたいです。
肩のあたりまで包み込むようなホールド感があり、最近のホンダ車はどのクルマもシートの座り心地がいいです。
私の好みだと、モケットの部分の薄いグレーはもう少し濃いカラーだといいかなという印象です。
カラーが選べるといいですね。
また、社外品のシートカバーを装着する場合は、ソフトレザーは滑りにくいので装着作業が大変になるかもしれません。
アイドルストップからの発進ももたつかない
ハンドル左にイグニッションのボタンがあります。
ブレーキを踏んでスイッチを押すと、キュキュキュというホンダ独特の音でセルが回りエンジンが始動します。
冷間時のアイドリングは若干気になる程度。
暖気が終了すればアイドルストップが入り、止まったときはホッとする室内空間に変わります。
アイドルストップでエンジンが停止すると、発進するときにもたつくイメージがありますが、このN-ONEではブレーキを離してアクセルを踏むときには瞬時にエンジンが始動し、発進のもたつきは全く気になりませんでした。
Aピラーの角度はこうでなくっちゃ
そして、走り出して最初に感じた嬉しいことがAピラーの角度。
Aピラーは、クルマのフロントウィンドウの左右にある窓やルーフを支えるピラーです。
最近はデザインからAピラーを寝かせたクルマが多い中、N-ONEはAピラーが立ち気味で、決して細いわけではないのに視線が遮られず運転しやすいです。
Aピラーが寝ていると、交差点やコーナーの進行方向の視界遮られて見通しが悪く、しかも頭上に迫るガラスの圧迫感が不快な場合があります。
N-ONEは、Aピラーが立っているので窓ガラスがおでこから離れていて頭の周りの空間が確保され、圧迫感の少ない穏やかな空間があります。
リアサスが動的質感を決定づける重要なセクションか
外の騒音はそれなりに入ってきますが、エンジンやタイヤなど、クルマの部品から発する高い音はあまり気になりません。
特に後ろからのロードノイズは、他のホンダの大衆車クラスのクルマと比べてもすばらしいレベルです。
N-ONE RSのリヤサスペンションは、音のレベルアップにも貢献していると同時に、段差を乗り越すときのショックの吸収性やコーナーリング時の操縦安定性など、このクルマの動的な質感を決定づける重要なセクションに思えます。
ターボなのにターボを感じさせない静粛性は大人のクルマ
外観からはエンジン仕様がターボなのか自然吸気のNAなのかは区別が着きません。
走っているときにNAにしてはパワーがあるな、ターボでないとこういうパワーは出ないと気づきます。
しかし、ターボの音はよっぽど耳を澄まし、聞き分けないと分かりません。
昔は、ターボの音が小さいとターボに乗っている気がしないといわれる時代がありましたが、N-ONE RSはターボを感じさせない大人の静粛性を持つクルマです。
また、エンジン後方のマウントにトルクロッドが採用されていることも、欧州車ライクなエンジン音を引き立てている要因の1つだと思います。
音のチューニングによる重厚な高級感が満足度を高める
50km/hから60km/hでクルージングしていると、エンジンに起因する低周波のこもり音の音量がそれなりにあります。
しかし、この低周波の音の影響で、元々低く抑えられているとはいえ高周波の音がさらに埋もれ、軽自動車ながら欧州車のような重厚な雰囲気が醸し出されています。
この音のチューニングはなかなか狙ってできるものではありませんが、高級感を引き立て軽自動車に乗っていることを忘れるほどです。
実に気持ちいいN-ONE RSのリニアなハンドリング
直進しているときは、タイヤに起因して発生するシェイクというブルブル感のある振動が60km/h弱くらいのスピードで気になるものの、乗り味は堂々としていて安心感があります。
コーナーでハンドルを切ると、レーシングカートのフレームがしなって3輪で気持ちよく旋回していくかのように、4輪が絶妙なバランスで荷重移動がなされリニアなハンドリングが実現されていました。
後ろに燃料タンクがある軽自動車とは異なり、センタータンクのレイアウトのN-ONEは、前後の重量配分が違い、若干後ろが軽いためにリアサスペンションのセッティングに自由度が生まれていることが功を奏しているのかもしれません。
コーナーの入り口での気持ちよい回頭性から、安定した姿勢でコーナーリングするさまは実に気持ちいいN-ONE RSでした。
まとめ
代車をお借りしたディーラーを出発して、すぐにN-ONE RSを魅力的に感じました。
インテリアの質感の高さ、運転しているときのワクワク感、静粛性も素晴らしく、欧州車のような重厚な高級感はすぐに伝わってくる魅力です。
それだけに、デザインは決して悪くないんだけれども、クルマを降りたときのエクステリアの質感はもうちょっと力を入れてもいいんじゃないかなと感じました。
那須烏山のような山に囲まれた街での暮らしでは、アップダウンや曲がりくねったワインディングロードを毎日走ります。
そんなところでは、リニアなハンドリングを持ち、安定した姿勢でコーナーをキビキビと気持ちよく走るクルマはとても重宝します。
N-ONE RS、かなり気になる1台です。